Parallel Telent V1.11 - リファレンス マニュアル


テルネットによる分散処理・マルチマシン並列コンピューティング

表記規約

表記説明
< > 別の記述で置き換える部分を < > で囲んで示します。
[ ] 省略可能な部分を [ ] で囲んで示します。
... 同じ項目をスペースで区切って繰り返せることを示します。
,... 同じ項目をカンマ (,) で区切って繰り返せることを示します。

起動オプション

Parallel Telnet の起動構文

paratel [<cmd-files>...] [-<options>...] [/<options>...]

先頭にハイフン (-) またはスラッシュ (/) を付けたパラメータは、オプションと見なされます。そうでないパラメータは、コマンド ファイル名と見なされます。

起動オプション一覧

起動オプション説明
<任意の文字列> 先頭にハイフン、スラッシュを付けないパラメータは、コマンド ファイル名と見なされます。コマンド ファイルには、!open などの制御コマンドや dir などの一般コマンドを記述できます。先頭がセミコロン (;) の行はコメントと見なされます。

コマンド ファイルの内容は、キーボードから入力されたのと同じように実行されます。

-o:<addr>[:<port>] 起動直後にリモートのテルネットサーバーに接続します。<addr> には IP アドレス または Windows マシン名を指定します。<port> には TCP/IP のポート番号を指定できます (既定値は 23)。このオプションは複数個指定できます。
-wo:<msec> サーバーに接続した後に待機する時間をミリ秒単位で指定します。既定値は 2000 ミリ秒 (2 秒) です。

サーバーに接続した後、すぐにコマンドを送信するとサーバーに受け付けられない場合があるので、接続後にはある程度の時間をおくのが確実です。

-? Parallel Telnet のオプションや制御コマンドを一覧表示します。制御コマンド !help と同じです。
-?? このページをブラウザで表示します。制御コマンド !helpw と同じです。
-ver 著作権とバージョン番号を表示します。制御コマンド !ver と同じです。

コマンドの種類

Parallel Telnet に入力するコマンドには、次の 3 種類があります。

なお、!open に対する !o のように、多くの制御コマンドには略称があります。どちらを使用しても同じです。

制御コマンド一覧

!read-command-file <path>   (略称 !rcf)
コマンド ファイルを読み込みます。コマンド ファイルの内容は、キーボードから入力されたのと同じように実行されます。ただし先頭がセミコロン (;) の行はコメントと見なされます。
!send <str>
<str> を一般コマンドとして現在の接続に送信します。
接続
!open <addr>[:<port>] [as <cname>] [nr] [wait <msec>] [color <c>]   (略称 !o)
リモートのテルネット サーバーに接続します。起動オプション -o と同じです。

<addr> には IP アドレス または Windows マシン名を指定します。

:<port> で、TCP/IP のポート番号を指定できます。指定しないと、テルネット接続の既定値である 23 が使用されます。

as <cname> で、接続名を指定できます。省略すると、最初の接続には C1、次の接続には C2 というように接続名 C<n> が付けられます。

nr を指定すると、この接続は占有状態で始まります。既定では、開かれた接続はレディ状態で始まり、すぐにアトムを受け付けます。たとえば、アトム待機時にパスワード入力が必要な接続を開く場合は、nr で接続を開始してパスワードを入力した後、!ready で接続をレディ状態にすることができます。

wait <msec> で、接続後の待機時間 (ミリ秒単位) を指定できます。接続後にすぐにコマンドを送信すると、サーバーによっては受け付けない場合があるので、しばらく待機するほうが確実です。既定値は 2000 ミリ秒 (2 秒) です。

color <c> で、色を指定できます。<c> には !color コマンドと同じ 1 〜 0xFF までの値を指定します。

開かれた接続は現在の接続となり、以降の一般コマンドはこの接続に送られます。

!close [<cname>]   (略称 !c)
リモート サーバーへの接続を閉じます。
<cname> は閉じる接続の名前です。省略すると現在の接続が閉じられます。
!close-on-ready [<cname>]   (略称 !cor)
リモート サーバーへの接続を閉じます。!close と似ていますが、!close が即座に接続を閉じるのに対して、!close-on-ready は接続がレディ状態になる (その接続で実行中のアトムが完了する) のを待ってから接続を閉じます。
!set-connection [<cname>] [current] [order <n>] [color <c>]   (略称 !sc)
既存の接続に対する設定を行います。
<cname> は、設定対象の接続の名前です。省略すると現在の接続が対象となります。
current を指定すると、接続 <cname> が現在の接続になります。
order <n> で、接続の順番を指定できます。先頭は 1 です。アトムの実行には前のほうから使用され、また最後の接続が現在の接続になります。
color <c> で、色を指定できます。<c> には !color コマンドと同じ 1 〜 0xFF までの値を指定します。
!list-connection <cname>   (略称 !lc)
存在する接続を一覧表示します。
アトム
!atom [<name>] [after <name>,...]
          [by <cname>,...] [except-by <cname>,...] [until <rex>]  (略称 !a)
アトムの定義を開始します。この行以降、!end-atom までの行はアトムの内容として登録され、レディ状態の接続が出現したときに実行されます。

<name> はアトムの名前です。省略すると、最初のアトムには A1、次のアトムは A2 というようにアトム名 A<n> が付けられます。

after <name> により、<name> で指定した他のアトムがすべて完了した後でのみこのアトムを実行するように指定できます。アトム間に依存関係がある場合に使用します。アトムは #END# または !atom-end-marker 指定値を受信したときに完了したと見なされます。

by <cname>,... により、このアトムを <cname> で示されるいずれかの接続でのみ実行できることを指定できます。

except-by <cname>,... により、このアトムを <cname> で示される接続では実行できないことを指定できます。

until <rex> は、このアトムの完了指標文字列を指定します。省略すると !atom-end-marker 指定値または #END# が使用されます。<rex>正規表現です。

!end-atom   (略称 !ea)
アトムの定義を終了します。
!atom-end-marker <rex>   (略称 !aem)
アトム完了指標文字列を指定します。既定値は #END# です。!atomuntil パラメータでもアトム完了指標文字列を指定できます。

<rex>正規表現で指定します。パラメータの指定方法も参照してください。

アトムを実行している接続が、この正規表現がヒットする文字列を受信すると、アトムは完了したものと見なされ、接続はレディ状態に戻って新たなアトムを受け付けるようになります。サーバー側がエコーを送信する設定になっていると、Parallel Telnet から送信した文字列も完了指標のチェック対象になるので、注意してください。

!delete-atom [<name>,...]   (略称 !da)
待機中の (まだ接続に割り当てられていない) アトムを削除します。<name> を指定するとそのアトムだけが削除され、<name> を省略すると待機中のアトムがすべて削除されます。
!delete-completed-atom [<name>,...]   (略称 !dca)
完了したアトムを削除します。<name> を指定するとそのアトムだけが削除され、<name> を省略すると完了したアトムがすべて削除されます。
このコマンドの結果は after <name> パラメータ付きのアトムに影響します。
!set-atom <name> [order <n>]   (略称 !sa)
待機中のアトムに対する設定を行います。order <n> で、アトムの順番を指定できます。前のほうのアトムから先に実行されます。
!list-atom [d]   (略称 !la)
まだ接続に割り当てられていないすべてのアトムを一覧表示します。d を指定すると、アトムの内容も表示されます。
!ready [<cname>]   (略称 !r)
<cname> で指定された接続をレディ状態にして、新たなアトムを受け付けるようにします。
!not-ready [<cname>]   (略称 !nr)
<cname> で指定された接続を占有状態にして、新たなアトムを受け付けないようにします。
ログ
!open-log-file <path> [for <cname>,...] [cn] [sys] [xs] [xr]   (略称 !olf)
ログ ファイルを開いて結果の記録を開始します。このコマンドを繰り返して、複数のログ ファイルを開くこともできます。

<path> にはログ ファイルのパスを指定します。

<cname> により、特定の接続の結果だけを記録できます。

cn を指定すると、接続名と送受信の区別が付記されます。送信文字列の先頭に [接続名>]、受信文字列の先頭に [接続名<] が付記されます。

sys を指定すると、アトムの定義や割り当て、接続のオープンとクローズなどを示すシステムメッセージがログに記録されます。

xs を指定すると、送信文字列は記録されません。

xr を指定すると、受信文字列は記録されません。

!close-log-file [<path>]   (略称 !clf)
ログ ファイルを閉じて結果の記録を終了します。

<path> にはログ ファイルのパスを指定します。ログ ファイルが 1 つしか開かれていない場合は省略できます。

マクロ
!macro <name> [<param>,...]   (略称 !m)
マクロの定義を開始します。この行以降、!end-macro までの行はマクロの内容として登録され、その後の !call-macro <name> で呼び出されます。

<name> はマクロの名前です。

<param> でマクロのパラメータを指定し、マクロ内容行の中に ${<param>} を記述して、!call-macro で指定する実パラメータで置き換えることができます。

例	!macro M1 p1,p2
	test-command ${p1}
	test-command ${p2}
	!end-macro
	!call-macro M1 A
	!call-macro M1 B

このコードは以下のコードと同じです。

	test-command A
	test-command B
	test-command C
	test-command D

マクロ内容行の中に ${ 自体を記述したいときは、${$}{ と記述します。

!end-macro   (略称 !em)
マクロの定義を終了します。
!call-macro <name> [<param>,...]   (略称 !cm)
マクロを呼び出します。
!delete-macro <name>,...   (略称 !dm)
マクロを削除します。
!list-macro [d]   (略称 !lm)
マクロを一覧表示します。d を指定すると、マクロの内容も表示されます。
表示
!color <c>,...
接続ごとの表示色を指定します。最初の接続との通信内容は最初の <c> で表示され、2 番目の接続との通信内容は 2 番目の <c> で表示され、以下同様です (接続オープン時に色を明示指定しない場合)。<c> を使い切ったら再び最初の <c> が使用されます。

<c> は次の値を加えたもの (ビット論理和) です。

意味
1
2
4
8 高輝度
0x10 背景 青
0x20 背景 緑
0x40 背景 赤
0x80 背景 高輝度

※0x<nn> は 16 進数です。たとえば 0x1016 と同じです。

既定では !color 3,6,5,2,4 を指定した状態になっています。

!input-show [<f>]   (略称 !is)
コマンド ファイルからの入力文字列を表示するかどうかを指定します。<f>1 を指定 (または省略) すると表示され、<f>0 を指定するか省略すると表示されません。既定値は 1 です。
!input-highlight [<f>]   (略称 !ih)
コマンド ファイルからの入力文字列を強調表示するかどうかを指定します。<f>1 を指定 (または省略) すると強調表示され、<f>0 を指定するか省略すると強調表示されません。既定値は 1 です。
!input-reverse [<f>]   (略称 !ir)
コマンド ファイルからの入力文字列を反転表示するかどうかを指定します。<f>1 を指定 (または省略) すると反転表示され、<f>0 を指定するか省略すると反転表示されません。既定値は 0 です。
!system-msg-color [<c>]   (略称 !smc)
システム メッセージ色を指定します。<c> には !color のパラメータと同じ数値を指定します。0 を指定すると、システム メッセージは表示されません。既定値は 0x16 (22) です。
次のシステム メッセージがあります。

システム メッセージ意味
[Register in <atom>] <command> アトム <atom> にコマンド <command> を登録した
[send to <con>] <command> 接続 <con> へコマンド <command> を送信した

このほか、次のような基本システム メッセージがあります。これらは常に既定の色で表示されます。

基本システム メッセージ意味
[Atom <atom> => Connection <con>] アトム <atom> を接続 <con> に割り当てた
[Connection <con> closed] 接続 <con> が閉じた
[Log file <path> opened for <n> connection(s)] ログ ファイル <path> を開いて、<n> 個の接続でログの記録を開始した
[Log file <path> closed for <n> connection(s)] ログ ファイル <path> を閉じて、<n> 個の接続でログ記録を終了した

!error-msg-color [<c>]   (略称 !emc)
エラー メッセージ色を指定します。<c> には !color のパラメータと同じ数値を指定します。既定値は 0x0C (12) です。
!cls
画面をクリアします。
その他
!quit   (略称 !q)
Parallel Telnet を終了します。接続が残っている場合は、すべて強制的に閉じられます。
!wait <msec>
<msec> ミリ秒間、待機します。
!help   (略称 !h)
使い方の要約を表示します。
!online-help   (略称 !oh)
詳細なオンライン ヘルプ (この文書) を表示します。
!ver
バージョン番号や著作権を表示します。
!rem <str>
<str> に任意のコメントを記述できます。Parallel Telnet はこの行を無視します。主にコマンド ファイル内で使用する制御コマンドです。コマンド ファイル内では、行頭に ; を書いてコメントを記述することもできます。

制御コマンドのパラメータの指定方法

制御コマンドには、アトム名、色番号、正規表現など、さまざまなパラメータを指定しますが、これらのパラメータは次のいずれかの方法で記述します。

  1. 直接指定する方法。空白類 (スペース、タブ) とカンマ (,) 以外の文字の連続が 1 つのパラメータと見なされます。たとえば「123」、「C:\Work\Sample.txt」、「あいうえお」などとなります。
  2. 二重引用符 (") で囲む方法。"<str>" の形式で記述すると、<str> の部分がパラメータになります。<str> には空白やカンマも含めることができます。<str> 中の二重引用符 (") は、円記号 (バックスラッシュ) でエスケープして \" と記述します。<str> 中の円記号 (\) は、\\ と記述します。たとえば「"This is a \"pen\"."」は「This is a "pen".」を表します。
  3. スラッシュ (/) で囲む方法。/<str>/ の形式で記述すると、<str> の部分がパラメータになります。<str> には空白やカンマも含めることができます。<str> 中のスラッシュ (/) は、円記号 (バックスラッシュ) を付けて \/ と記述します。たとえば「/C:\\Program Files\\/」は「C:\\Program Files\\」を表します。正規表現に便利な指定方法です。

通常は上記の 1 の直接指定を使用し、空白やカンマを含める場合は 2 または 3 を使用することをお勧めします。

用語集

IP アドレス
192.168.1.10 のような 4 つの数字で示されます。127.0.0.1 (または localhost) でローカル マシン (使用中のマシン) を指定できます。ipconfig コマンドでマシンの IP アドレスを確認できます。
Windows マシン名
[マイ コンピュータ] を右クリックして [コンピュータ名] タブを表示したとき、[フル コンピュータ名] に表示される文字列が Windows マシン名です (Windows XP の場合)。
現在の接続
現在、主に使用するサーバー接続を示す Parallel Telnet の概念。既定では最後に !open で開かれた接続が現在の接続となり、一般コマンドはこの接続に送られます。

!list-connection で最後に表示されるのが現在の接続です。現在の接続は !set-connectioncurrent または order パラメータで切り替えることができます。

アトム
分散処理できない最小限のコマンド グループを意味する Parallel Telnet の概念。!atom 制御コマンドで定義します。
レディ状態・占有状態
新しくアトムを受け付けるかどうかを示す Parallel Telnet の概念。開かれた直後の接続は、レディ状態になります (nr 非指定時)。アトムの実行を開始すると占有状態になり、#END# または !atom-end-marker 指定値を受信するとレディ状態に戻ります。

使用許諾・著作権

Parallel Telent の Personal 版は、自由に配布していただいてかまいません。ユーザー登録後の Professional 版は、配布できません。

Parallel Telent の Professional 版の 1 つのライセンスは、1 台のマシンまたは 1 人のユーザーに提供されます。

Parallel Telent の著作権は多摩ソフトウエア有限会社 (東京都足立区) が保有しています。

開発・提供

多摩ソフトウエア有限会社   info@tamasoft.co.jp

〒120-0034 東京都足立区千住3-6 ツォード千住 壱番館801

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