コッヘルとバーナーで飯を炊く

自然の中で食べるごはんは美味しいですよね。登山用品店に行くと、簡単に調理できる食料がたくさん売られていますが、やはりあつあつの白い御飯が最高です。とにかく美味しいし、食べた感じがして元気が出ます。ここでは、登山用の汎用コッヘルとバーナーで御飯を炊くためのノウハウを書きたいと思います。

よく笑われるのですが、私は毎日自宅でチタンコッヘルを鍋代わりにして御飯を炊いています。たいへん美味しく炊けます。たまに実家で食べる最新型の炊飯器の御飯よりうまいと思うくらいです。自宅で炊く場合はバーナーではなく普通のガス台を使うのですが、焦げ付きを防ぐために網(ユニフレーム ミニロースター)を敷いています。火加減をうまく調節すれば網なしでも大丈夫かもしれませんが、網があれば、火を着けた後は一合半炊くのに17分ほったらかしでOKです。少し炊きムラができるので、布団の中などで最低5分蒸らしてください。

さて、ここを検索して来られた方の多くは「せっかく買ったコッヘルとバーナを使って山で御飯を炊いてみたい」という方だと思います。私も何度か挑戦しましたが、私なりの結論を先に書くと、

    山で美味しい御飯は炊けません

、、、。見た目はちゃんと炊けています。芯もありません。だけど、あまり美味しくありません。たぶん、山では水の沸点が下がって米のα化が十分に進まないからだと思います(標高2000m、気圧800hPaで水の沸点約93℃)。山小屋では圧力鍋を使う所以です。

それでも「一度自分でやってみたい」「あまり高所には行かない」「味は多少目をつぶる(カレーなどにすれば御飯自体の味はそれほど気になりません)」という方のために、以下では私が実践から得た知識を紹介したいと思います。

アウトドアの場合は、に加えて風防が欠かせません。バーナーの火は、焚き火が飯盒を包み込むようにコッヘル全体を加熱することができないため、体感できないほどの弱い風であっても影響が大きく、お米全体に熱が伝わらなくなってしまいます。

私が使っているEPI REVO−3700のようなガスカートリッジ直結型のバーナーに風防は危険、という意見もありますが、少なくともカートリッジを手で触れるくらいの温度ならば問題はないでしょう。逆にある程度カートリッジが暖まった方が効率がよくなり、ガスの消費量を抑えられます(一合半を25g程度のガスで炊けるはずです)。網からの輻射熱もあるので、風防で囲ったまま放置すると確かにかなり高温になります。必ずアルミホイルを用意して、カートリッジがある程度暖まったら、アルミホイルで上からの熱を遮断するようにしてください。また、カートリッジが暖まるにつれて火力が増してくるので、火を弱めていくことも必要です。分離型のバーナーであればこのような心配はないでしょう。

風防は、コッヘルの側面を囲むように置かないと意味がありません。直結型のバーナーの場合はコッヘルの位置が地面から高くなるので、縦に長い風防を用意するか、石などを使って風防をかさ上げしてやる必要があります。とにかく、コッヘルの側面にうまく熱がまわるように工夫してください。特に風があるときは、風を避けられるかどうかが成功/失敗の鍵になります。

火加減や水加減は試行錯誤してください。ヒントとして
・水は多め、火は弱めの方が失敗は少ない。ただし、慣れてきたら強火で一気の方が美味しく炊ける
・火から下ろすタイミングは、蓋を開けたときにまだ泡が少し見えるくらいでOK。5〜10分くらい布団や寝袋に入れて蒸らすと、ふっくらとちょうどよい状態になる
山でトライする前に、風のない家の台所で試してみることをおすすめします(山で侘びしい思いをしないために 笑)。屋外で明るいうちにガスを使う場合は、火の強さや網の赤熱具合が見た目にわかりにくくなります。コッヘルの蓋を手で触ってみたり、コッヘルの周囲に手をかざしてみて、適度な火力を体で覚えるようにするとよいでしょう。慣れてくれば、お焦げの具合も自由自在になりますよ。最後に、お米はできるかぎり長く水につけてください(1時間以上をオススメ)。成功を祈ります。

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