LID の起動時に指定できる多くのデバッグオプションがあります。次は、プログラム HELLO をデバッグオプション/A と/C とともに起動した例です。
LID /A /C HELLO
各デバッグオプションは、先頭にスラッシュ (/) またはハイフン (-) を付けて指定します。大文字と小文字は区別されません。各オプションを指定する順番は自由ですが、デバッグ対象プログラムに渡すパラメータと区別するために、デバッグ対象プログラム名の前に指定する必要があります。
以下では、すべてのデバッグオプションについて、アルファベット順に説明します。
EAX などの 32 ビットレジスタを使用するプログラムをデバッグするときに指定します。CPU が 80286 以下の場合は、このオプションを指定してはなりません。
プログラムの実行経路の表示だけを行うモードになります。このモードでは、デバッグコマンドは入力できませんが、手軽にプログラムの実行経路を確認できます。プログラムが無限ループに陥っている場合などに有効です。
プログラムの実行経路の表示だけを行うモードになります。ソース行の内容も表示されることを除き、デバッグオプション/A と同じです。
デバッガからの画面出力と、デバッグ対象プログラムからの画面出力とを区別するために、デバッガからの画面出力の色を <color-code> に変更します。<color-code> には、1(青)、2(赤)、3(紫)、4(緑)、5(水色)、6(黄) のいずれかの数値を指定します。デフォルトは黄色です。
この機能は MS-DOS エスケープシーケンスを使用するため、ANSI.SYS を組み込んでいない古い DOS/V 機では正しく動作しない可能性があります。また、デバッグ対象プログラム自身が MS-DOS エスケープシーケンスによる色指定を行っている場合も、このオプションを使用しないことをお勧めします。
ソースファイルのタブサイズを設定します。<tab-size> には、2、4、8 のいずれかを指定します。デフォルトは 8 です。ソースファイルが前提としているタブサイズが 8 以外の場合は、このオプションを指定しないと、ソースファイルがきれいに表示されません。
常駐プログラム(TSR)をデバッグするときに指定します。TSR とは、終了した後もメモリ上に残るタイプの MS-DOS プログラムであり、付属のサンプルプログラム HELLOT.ASM がその一例です。
TSR をデバッグする手順は以下のとおりです。
まず、デバッグ対象の TSR を LID で起動します。オプション/TSR を指定します。
次に、通常の LID の操作に従って、その TSR が常駐終了するまで実行します。このとき、あらかじめ常駐部分にブレークポイントを設定しておくか、または最後の命令を T(トレース)か S(ステップ)コマンドで実行します。そうしないと、再び TSR 内で停止させることができなくなります。
以上で TSR が常駐しました。通常はここでデバッグが終了しますが、この場合はオプション/TSR の効果で COMMAND.COM が起動され、MS-DOS のコマンド入力状態になります。
ここで、TSR に制御を移すように操作します。TSR に制御が移ると LID のコマンド入力状態になります。
再び通常の LID の操作に従って、TSR を実行します。ただし、TSR の最後にブレークポイントを設定しておくか、最後の命令を T または S コマンドで実行する必要があります。TSR が終了すると再び MS-DOS のコマンド入力状態になります。
デバッグを終了するときは、MS-DOS のコマンド入力状態から EXIT コマンドを実行します。デバッグを終了しても、TSR はメモリ上の最適でない場所に残っているため、常駐を解除できる TSR については、いったん常駐を解除することをお勧めします。そうしないと使用可能メモリが大きく減少したままになります。
入力するラベル名の照合時に、大文字と小文字を区別します。